救いが無さすぎる『ドローン・オブ・ウォー』の結末とドローン戦争について考察

作品情報

 

キャスト

     

    監督アンドリュー・ニコル
    主な出演者

    イーサン・ホーク

    ジャニュアリー・ジョーンズ

    ゾーイ・クラヴィッツ

    主な登場人物

    トーマス・イーガン

    モリ―・イーガン

    ヴェラ・スアレス

     

    あらすじ

     

    アメリカ空軍のトミー・イーガン少佐の赴任地はアジアでも中東でもない。ラスベガスの基地に設置されたコンテナ内で無人機ドローンを遠隔操作し、1万キロ余りも離れた異国でのミッションを遂行している。クリックひとつでミサイルを発射する爆撃は、まるでゲームのように現実感が欠落しているのだ。一日の任務を終えると、車でラスベガスの歓楽街を通り抜けて、整然と区画された住宅街のマイホームへ帰り、美しい妻モリーとふたりの幼い子供との生活に舞い戻る。繰り返されるこの毎日がトミーの日常であり、異常な現代の戦争の姿だった・・・。

     

    なめこ汁の考察感想

     

    ドローン戦争

     

    f:id:namekonameco:20191229171449p:plain

     

    世界の対テロ戦争は時代が進むごとに無人化していきました。

    その中でも特に敵対組織の幹部や高価値目標をピンポイントで爆撃し成果を上げる局所攻撃が現代の戦いとなっている今は、アメリカにいながら現地の敵対組織の人間を殺せるという非現実的な事が起きています。

     

    さらにドローンでの攻撃は民間人への誤爆も多く、今作でもあったように現地民間人に大きな被害を残しています。現在は威力が高すぎる”ヘルファイアミサイル”から、より精密に爆撃できる”スコーピオンミサイル”を採用し被害を最小限に抑える努力をしていますが…

     

    ボタン一つで殺せる無人航空機(UAV)による戦いは、正直どちらが正義かは分かりません

     

    作中でもあった、高価値目標を殺すために民間人をもコラテラルダメージとして黙認するのならば、過激派組織と同じではないかと私は思います。

     

    ニーチェの言葉に

    「怪物と戦う者は、その際自分が怪物にならぬよう気をつけるがいい。長い間、深淵をのぞき込んでいると、深淵もまた、君をのぞきこむ。」

     

    という言葉があります。作中に描かれているアメリカは対テロ戦争で膠着を続けている中で、いつか怪物にならないか心配です。

    私は、混迷を極め鼬ごっこを続ける対テロ戦争において正解はあるのか、その先にあるモノが幸せかは分かりません

     

    結末が綺麗事でどうにかなる次元にないことも理解していましたが、やはりボタン一つで自分自身が何のリスクをも追わず人を殺せる現代のやり方は正しいと私は言えません。

     

    ドローンが人間をぶっ壊した

     

    f:id:namekonameco:20191229171545j:plain

     

    ドローンでの殺人は身体的リスクがなくなった代わりに精神的リスクが増大したのはよく言われる話です。今作の主人公である彼もそのドローン戦争の被害者の一人と言えます。

    通常は監視業務を主な任務としていた彼ですが、CIAから特殊作戦への参加を打診され参加します。そしてその作戦での自らの行動にとてつもない罪悪感と無力感が生まれ、果てに命令違反や無断でのミサイル発射に至りました。

     

    彼らが使用するUAVはいろいろな事が見えすぎます

    例えば爆撃した後の戦果評価で死んだ生身の人間の数を数える場合、時にそれは戦闘員だけでなく無実の人間も含まれます。

    さらに殺した人間の生活背景や、人間関係も見えてきますよね。UAVだからこその視点を持つことで、殺す対象を知りすぎてしまうがために殺す罪悪感が重くのしかかってくのだと思います。

     

    見えすぎるからこそ、”殺さなければならない彼ら”を人間と見てしまうのだ。

     

    UAVでの殺害は人を殺している実感を抱かないと言う論客もいるが、実はそんなことないのかもしない。

     

    衝撃だった結末

     

    f:id:namekonameco:20191229171616j:plain

     

    彼が家族に愛想をつかされて、家に戻るシーンは少しホラーを感じさせるものがありましたね。というのも彼はすでに壊れていて人間がもつ境界線を失っているのではないかという発想が根底にあります…

     

    この描写の少し前に、彼は軍人としてではなく「1人の人間として」レイプ犯を法で裁かず彼の感情のみで殺してしまいました。これは一見自身の行いへの償いのようにも思えますが、別の見方をすると彼の殺しの境界線が曖昧になったとも取れます。

     

    この先彼が怒った時にその境界線のままで行くと危ない気がしてなりませんでした。非常に不安定で危険な彼が実家に行くシーンはすごく不穏で怖かったです。

     

    まちがいなく今作品で一番怖いシーン!!

     

    最後に

     

    なめこ汁
    戦争は怖い…

     

    ドローン戦争への興味関心の一つの入り口としてかなり説得力のある作品であると感じた。内容としても主人公の葛藤が良く描かれており、重い内容になっていた。

    しかし、エンディングの怖さなどちょっとマイナスの要素も多かったのは間違いない。それに最後の新しい恋を感じさせるような演出は邪魔に感じましたね。

     

    重いなら重いままでいけと、説に願うシーンでもありました。とはいうものの普通に作品として完成度が高く、面白いと言えるモノであったため見てみるのもいいかもしれない。

     

    以上、なめこ汁がお届けしました!!

    この記事が気に入ったら
    フォローしよう

    最新情報をお届けします

    Twitterでフォローしよう

    おすすめの記事