想像力をフルで使って楽しむ

新しい映画作りの片鱗

あらすじ

アスガーは仕事のトラブルで緊急通報指令室のオペレーターという職務に携わっている。裁判で身内が偽証してくれる予定で、それで現場復帰が叶う予定になっていた。そんな中裁判前日、いつものように緊迫してない事件の電話対応をしていたアスガーであるが。イーベンと名乗る女性から一本の通報を受ける。その電話は今まさに誘拐され、車で誘拐されている女性からの電話であった。


映画『THE GUILTY/ギルティ』予告編

感想

想像力を使った面白い作り

この作品の優れている点は「事件がすべて音声のみ」で進行していくことである。基本的に警察モノは現場の警察官に焦点をあてその活躍やアクションなど割と「動きがある」ため鑑賞する側としてはそこまで想像力を必要としない場合が多い。しかし今作は音声しかないため、想像力が非常に大事になっている作品となっており非常に楽しめた。

もちろん現場の状況を「音声のみ」で観客に届けるのは、明確な意図がある。製作者が観客に現場を見せないことで何が起きているか分からない状況を作り上げ、観客自身に事件現場を作らせようという意図を含んでいる

つまりこの事件現場というものは人間がいればいるほど違う状況が描かれるという特徴を持っている。

例えば、「白いワゴン車」という犯人の特徴を鑑賞後の観客に問うたら、それぞれ形や内装を違う状態で想像するだろ。

これは人間が持つ想像力というのはその人が持ちうる知識や経験が元になっているからであり、その人の生き方や接してきたものによって想像の形が変わるからである。

 

本作はそんな人間の「想像力」を利用した新しい映画だと感じた。

ちなみに、友人との鑑賞後事件現場についてお互いの想像をまとめてみたが、まったく違う現場が完成でき二度楽しめる結果となった。

人間の思い込みの脆さ

私自身もそうだが、終盤まで犯人を勘違いしていた。ここで私は思い込みの怖さを知った。

私はこの作品で犯人に関する情報を聴覚でしか聞いていない。そしてイーベンのバックグラウンドやヨハンについても全く知らないのにも関わらず、電話口に聞こえてくる音声と声色、ヨハンの犯罪歴などで犯人をヨハンと決めつけていた。

しかし現実はヨハンが子供を守って、イーベンが子供を殺していたという状況があった。

思い込みが判断を狂わす。思い込みが間違った状況へ引きずり込む。

まさしく思い込みが招いた一つの結果を今作は描いてくれた。

 

それは主人公であるアスガーも一緒であり、彼も思い込みで捜査を進めて結果的に事件を間違った方向へと導いてしまった。ある意味今作の主人公は我々観客のメタファーであったのではないかと考えている。

というのも事件から得られる情報に関して主人公と観客が得られる情報量は等しく、さらに現場の様子を見ることはない状況で「声」のみで事件を想像していく必要があった。つまり我々とほぼ状況は同じである。そんな中で電話口から聞こえてくる少ない情報をもって現場を想像する時に「強い印象」「偏った情報」にばかり傾倒し、結果的に道を間違えた者は主人公や私以外にもたくさんいるだろう。

緊迫な状況であるからこそ、間違えないために情報の収集分析をして極力正しい方向にもっていくことが必要というメッセージを今作品は含んでいるのではないかと感じざるを得なかった。

【おすすめ度】

☆☆☆☆☆☆

新感覚で面白い作りになっていた。ただいらない要素が多かった気もしなくもない。この題材でこの上映時間であるから、もうちょっと中身を簡略化して事件の中身だけに注力できるようなスマートな中身にしても良かったかもしれない。しかし本作は新しい映画の作り方を提示した作品であったため、今後の「音声スリラー」のブラッシュアップに期待である。

とにかく、新しい映画の作り方に期待が持てる作品であったため非常に期待で胸がわくわくした作品であった。要チェック

思い込み。ダメ絶対

著・なめこ汁

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