『ウィンド・リバー』が伝えたいアメリカの"深すぎる闇"について徹底考察
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作品情報

 

キャスト

 

監督テイラー・シェリダン
主な出演者

ジェレミー・レナー

エリザベス・オルセン

主な登場人物

コリー・ランバート

ジェーン・バナー

 

あらすじ

 

雪深いアメリカの、ネイティブアメリカンが追いやられた土地“ウインド・リバー”で見つかった少女の死体―。新人捜査官ジェーン・バナー(エリザベス・オルセン)が単身FBIから派遣されるが、慣れない雪山の厳しい条件により捜査は難航。ジェーンは地元のベテランハンターで、遺体の第一発見者であるコリー・ランバート(ジェレミー・レナー)に協力を求め、共に事件を追うが、そこには思いもよらなかった結末が・・・。

 

なめこ汁の考察感想

 

先住民保留地とは?

 

今作の舞台は先住民保留地ですが、聞き馴染みのない言葉のため舞台そのものを理解するのが難しかったかもしれません。もっとこの作品に対して理解を深めてもらうべくこのワードについて解説していきます。

 

アメリカにはインディアンという先住民族がいるのはご存じでしょうか?

実物写真

 

白人がアメリカに来る前からそこに住んでいた民族ですが、白人は彼らとの衝突を緩和するためにアメリカ政府とインディアンの間で条約を結び、国内に保留地を作り先住民を住まわせていました。

しかし結局は白人が土地を欲すれば居住地内の土地も容赦なく接収し、先住民達は徐々に僻地へと追い込まれていきました。保留地の歴史は非常に暗く悲惨であると言えます。

 

現在はアメリカ合衆国内においての一定の自治権が認められています。その自治権が認められている土地こそが作中でも出てきた「合衆国内務省インディアン管理局(BIA)管轄の先住民保留地」であります。

しかしこれらの土地は不毛で、産業と言える産業もなく貧困にあえいでおり娯楽や気晴らしが少ないので閉鎖的にならざるを得ません。さらに就業先がないなどの理由で保留地を抜け出す者もその先で差別を受けることがあるなど、先住民というレッテルに苦しむこともあります。

 

 

文字通り先住民保留地とは地獄といっても過言じゃない過酷な生活環境です。

 

閉鎖感が人を殺す

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この作品の犯人は実行した者だけではなく、それをさせてしまうような生活環境そのものにあると思います。そもそも保留地では数字に表れない失踪者が多すぎます

作中で発生した強姦事件を始めとする様々な事件が起きているのにも関わらず、それを数字上に管理することができていないどころか、事件として扱ってくれない調査すらしてくれません。そもそも司法が成り立っているかも定かではないのです。

 

作中で男が逮捕されたことに対して「司法がまともに機能した」と言っているシーンがありますが、そのぐらいこの場所での司法とは薄っぺらく役に立たない代物だったのでしょうね。

司法自体が機能していない以前に、その生活環境が過酷で閉鎖的であるからこそ、若者はドラックや酒におぼれ、犯罪率も高い状況が続います。まず作中でも言っていたように広大な土地を守る警察官が6人しかいない状況で犯罪を防ぐなど夢物語ですね。

目が行き届いていないからこそ掘削場の社員の異常に整った武装やその中で起きている撲殺事件にも気付かないのです。自治とは名ばかりの無法地帯であるのが現状です

 

この作品において本当に考えるべきところは「この環境そのもの」であり、彼らがどうして罪を犯してしまったのかです。

人の精神状態や心の安定というのは結局のところ外的要因、つまり環境によるところが大きいですが、この極限状態の環境に当てられ追い詰められて罪を犯した、もしくは犯してしまうような過酷さを強いられている先住民居住地についてもう一度考える必要があります。

そこを理性で抑えるのが人間だろ」というのは簡単ですが、あの荒廃して何もなく自分の身は自分で守る必要がある世界で我々は果たして正気を保つことができるのでしょうか。

 

 

この映画に教わったこと

 

アメリカだけの問題ではない題材を娯楽作品として扱うのは、この問題を知らない者たちへ非常に有益であると考えます。

そして人種差別、部落差別など根深い問題についてはより多くの人が当事者意識を持ってそれを考える必要があります

しかしこのような問題は非常に繊細で難しいため取っ掛かりが見つからないなんてこともあると思います。

そんな中、『ウィンド・リバー」は大陸を超えて我々にこの問題を突き付けてきました。

面白かった、楽しかったでは決して終われない今作は後世に語り継ぐ映画だと思います。

この作品を見てアメリカの現状について理解する人が増えることを祈っています。

 

 

最後に

 

なめこ汁
映画から学べることが多すぎる…

 

以上、なめこ汁がお届けしました

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